【プレスリリース】「地域の事情に、システムを合わせる」堺市乗合タクシーの予約・配車管理にロコバスを採用

株式会社ジーネックス(本社:岐阜県多治見市、代表取締役:柴田 俊)が開発・提供する地域公共交通予約システム「ロコバス」をベースとした専用予約管理システムが、大阪府堺市の「堺市乗合タクシー」に採用されました。約1年間の実証・開発期間を経て、2026年5月18日(月)より市民向けのWEB予約が本格的に開始されたことをお知らせいたします。

地域公共交通のシステム化では、システムの仕様に地域を合わせるのではなく、地域ごとに異なる制約をどう成立させるかが課題となります。当社が一貫して取り組んでいるのは、予算の制限、現場に追加の負担をかけられない事情、協議会で交わした約束といった、複数の関係者が抱えるそれぞれの制約を踏まえ、全員が無理なく運用を続けられる「最大公約数」を見つけることです。今回の堺市の案件も、この考え方に沿って進めました。

自治体システム化の難所は、技術ではなく「関係者ごとに異なる制約」

地域公共交通のシステム化では、自治体・運行事業者・利用者・地域公共交通会議など、複数の関係者がそれぞれ異なる事情を抱えています。予算には上限があり、運行現場にこれ以上の作業負担はかけられず、一方で協議の場で約束した利便性の改善は実現しなければならない——こうした制約は地域ごとに異なり、汎用のパッケージシステムでは吸収しきれないことが少なくありません。

堺市の乗合タクシーにも、固有の運行ルールがありました。「終点が二股に分かれるルート(Gルート・Iルート)」では、「乗車人数が定員以下であっても、行き先が異なれば車両を2台に分けて配車する」必要があり、一般的なパッケージ型予約システムでは標準仕様の範囲外となるものでした。

解決の進め方:すべてをデジタル化せず、残すべきものは残す

当社は、関係者それぞれの制約を整理したうえで、「何をシステム化し、何を従来どおりに残すか」を見極めながら設計を進めました。

1.地域固有のルールに合わせた独自アルゴリズム

「二股分岐」のような地域独自の配車ルールにも、自社でコードを開発する体制であれば対応が可能です。今回は堺市専用のアルゴリズムを開発し、必要な車両数を抑えながら効率的に配車を割り当てる処理を実現しました。

2.アナログな運用を意図的に残すという判断

すべてを一度にデジタル化することは、現場に新たな負担を強いることになります。今回は、予約簿をエクセルで管理する運用や、運行指示をオペレーターが電話・無線で行う運用を、あえて従来どおり残しました。デジタル化が現場にとって最善とは限らないという前提に立ち、関係者が無理なく続けられる形を優先した結果です。

3.必須目標だった「予約受付時間の延長」を達成

従来、堺市の乗合タクシーは電話受付とアナログでの配車管理を行っており、配車計算に要する時間を見込んで予約の締め切りを早めに設定せざるを得ませんでした。今回、配車計算をシステムが支援する仕組みを導入したことで、この締め切り時間を繰り下げることが可能になり、電話予約・WEB予約の双方で受付時間を延ばすことができました。あわせて、スマートフォンから24時間予約を受け付けるWEB予約にも新たに対応しています。受付締切の延長は堺市が本プロジェクトで掲げた必須目標であり、今回の導入による中心的な成果です。

4.外部委託に頼らない自社開発体制

以上のような柔軟な対応は、当社がソフトウェアのコーディングからハードウェアの設計までを外部委託(下請け)せず、開発工程を社内で完結させていることによります。開発体制が社内に閉じていることは、情報セキュリティを重視する行政機関のシステム選定において、堺市から評価されたポイントの一つでもあります。

20以上の自治体で導入、いずれも継続利用中

「ロコバス」は、標準システムおよび堺市のようなカスタマイズ版を含め、これまでに20を超える自治体に導入されています。今回の堺市はカスタマイズ版として最大規模の案件です。さらに、期間限定の実証実験を除き、導入したシステムはいずれも現在まで継続して利用されています。

地域公共交通のDXでは、導入後に現場で使われなくなり運用が途絶える事例も少なくありません。導入したシステムが継続して使われ続けているのは、地域ごとの制約に合わせて「無理なく続けられる形」を設計してきたことの結果だと当社は考えています。

今後の展望:「仕様」に地域を合わせるのではなく、「地域」にシステムを合わせる

全国の自治体が地域公共交通の維持に取り組む中、システムの仕様に合わせて地域独自のルールや割引制度を見直さざるを得ず、住民の理解を得るのに苦労するケースは少なくありません。

株式会社ジーネックスは、社員10名という規模ながら、ハードウェアの設計・製造からソフトウェアの開発・保守までを外部に委託せず社内で完結させる体制をとっています。この体制による小回りの良さを活かし、今後も全国の自治体が抱える地域固有のルールや運行実態、関係者それぞれの事情に寄り添い、持続可能な公共交通の実現に貢献してまいります。

関連リンク

堺市「堺市乗合タクシー」(堺市公式サイト)

https://www.city.sakai.lg.jp/shisei/toshi/kokyokotsu/noriai/index.html